腰痛にウォーキングが効く医学的理由【腰痛対策タイプ3】

今回は腰痛対策タイプ3として慢性痛を抑える仕組みについて書いていきます。

慢性的な痛みのキーワードは中枢感作有酸素運動です。

Q.痛みを強くする仕組み「中枢感作」とは?

A.痛みに対して脳が過敏になっている状態です。

組織が損傷し痛みが出るとその情報は脳に伝えられます。

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その部分に「感作物質」という痛みを感じやすくする物質が集ります。(末梢感作)

「なんで痛みを強くしてるんだ!」と思うかもしれませんが、この状態は本来痛みの反応を強くして、痛みの出ている組織にそれ以上刺激を与えないようにするための大切な反応です。

 

しかし、この反応が続くと痛みを伝える神経にも反応が起こります。

痛みが続いた時にそれを伝える神経は徐々に過敏になっていきます。この神経が過敏になっている状態を中枢感作と言います。

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中枢感作になると普段は無害な刺激であっても脳は痛みとして感じてしまうほど、疼痛に対して過敏になってしまいます。

(正確には脊髄後角の感受性が高まることによって、普段は無害なはずの振動や接触を伝達するAβ繊維のもたらすシグナルも痛みとして知覚されてしまう状態です。)

そして、中枢感作の恐ろしいのは組織の損傷が治っても神経が過敏なままになり、痛みが続いてしまうことがあるのです。

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中枢感作が続くと、痛みは慢性的になり「何をやっても治らない」、「何年もずっと痛みがある」という状態になってしまいます。

そして、中枢感作の痛みは不安やストレスなど心理的な要因でも強くなることがあります。「忙しいと腰がいたむ」という方は少なからずこの影響を受けている可能性があります。

 

では中枢感作から根け出すにはどうしたらいいのか。ここで大切なのがウォーキングなどの有酸素運動なのです。

Q.慢性疼痛にはウォーキング?

A.有酸素運動は中枢感作を正常に戻す効果があります。

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有酸素運動には様々な効果があることがわかっています。血圧やコレステロールを低下させ心疾患のリスクを減らすことや認知機能の向上を示す研究もあります。

そして、痛みに関しては中枢感作などの疼痛管理システムの正常化やストレス軽減に効果があることが知られています。

痛くて動かないでいると脳はそのことばかり考えてしまいます。中枢感作から抜け出すのに大切なのは普段は痛むけど、動くことが出来るという感覚なのです!

また、誰でも運動後の爽快感や達成感を味わったことはあると思います。この感覚を得ることも脳にはすごく大切なのです!

Q.有酸素運動はどれくらいやればいいの?

A.最低でも12分の早歩きをやりましょう!軽く汗をかく運動を週2回以上、1回に30分以上出来ればベストです!

運動とストレスの関係についての研究をまとめると⬇︎の内容になります。

  • 1回のセッションで45〜60分ぐらいの運動をするとストレスが改善し、認知機能も向上しやすくなる
  • 「週に2回の運動」と「週に4回の運動」を比べた場合、両者に大きな効果の差はない
  • 運動のレベルは「軽く息があがるくらい」から「ヘトヘトになるぐらい」までの範囲で行わないと意味がない
  • もっとも、ストレス対策だけに絞ればそこまで時間を割く必要はありません。
  • 最低でも12分の早歩きで、あなたの脳のパフォーマンスは確実にアップします。
著:鈴木祐.最高の体調 ACTIVE HEALTH

ここでのストレスとは体内の炎症レベルのことを言っています。

疼痛が無くても、有酸素運動は日々の活動をより良くしてくれるので是非やってみてください!

まとめ

慢性的な痛みはこれらのことを知ることがとても大切です。

「最近疲れて腰が重いな」という人はダマされたと思って少しの期間運動をしてみて下さい。

運動後の爽快感はあなたの脳の異常を少しずつ治してくれます。


 参考文献

最高の体調 ~進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法~ (ACTIVE HEALTH 001)

最高の体調 ~進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法~ (ACTIVE HEALTH 001)

 
整形外科における理学療法

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  • 作者: メヒトヒルト・デルケン,守安健児,松尾慎,アンチェ・ヒューター‐ベッカー,長谷川圭,吉水淳子
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  • 発売日: 2014/10/27
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