覚えておきたい緊急時の対処法~PRICE処置編~
スポーツ医学や医療現場などでも言われている緊急時の対処法があります。それがPRICE処置です。
PRICE処置とは、Protection(保護)、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字をとったもので、外傷などの緊急時の治療原則となっています。
緊急時にこれらの適切な処置をすることで不必要な腫れを抑えて、ケガの直りを早くすることが出来ます。
そのため、仲間やスクール生の緊急時に素早く対応できるように今回の記事で復習しておきましょう!
Protection(保護)
一つ目の処置はProtection(保護)です。
ケガをしたときにその部位に固定具や包帯などを巻いて保護をすることで、ケガをした部位の二次的な損傷を防ぐことが出来ます。
固定具や包帯、担架などがあるのが望ましいですが、ない場合の方が多いと思います。その場合はパートナーの肩を借りるなどしてなるべくケガをした部位に体重をかけないようにしてベンチやクラブハウスに戻るようにしましょう。
Rest(安静)
二つ目の処置はRest(安静)です。
Protection(保護)とほぼ同義になりますが、ケガの受傷直後は想像以上に組織が脆くなっており、過度な負担をかけることは禁物です。
緊急時は極力痛みの出る動きや行動はしないことが大切です。
Ice(冷却)
三つ目の処置はIce(冷却)です。
冷却の効果としては腫れや代謝の抑制と疼痛の緩和にあります。
代謝の抑制は冷却によって血流と組織の代謝が低下が起きることによって、ダメージを受けた組織の二次的な低酸素症を防ぐことが出来ます。
腫れの抑制は冷却によって血管が収縮し、ケガの後に起こるリンパ液の貯留を軽減することによっておこります。
疼痛の緩和は神経伝達速度の低下などにより起こります。
実施時間としては10分から20分程度で行います。
よく間違いとしてあるのは表面の感覚がなくなるまで長時間冷やしている方がいますが、過度な冷却は凍傷の原因となるため、違和感の出現や表面の感覚がなくなるようなことがあれば、一度離して感覚が戻ったのを確認してから再度冷やすようにします。
冷やしていて気持ちいいと思える範囲で冷やすようにしてください。
Compression(圧迫)
四つ目の処置は圧迫です。
患部を圧迫することによって内出血や腫れを抑える効果があります。
保護も含めて包帯などで巻くやり方がいいと思います。この時に無理に強く巻いて血流を止めてしまわないように注意をしてください。
巻いて少しした後に巻いた先が青くなっているようであればすぐに巻き直してください。
Elevation(挙上)
五つ目の処置は挙上です。
受傷した患部を心臓よりも上に挙げることによって、血流を抑制して腫れや炎症を抑える効果があります。
以上五つの緊急処置を行い、速やかに医療機関にかかることをお勧めします。
また、最近ではPRICEのRest(安静)がOptimal Loading(適切な負荷)に変わったPOLICE処置という言われ方が出始めています。
ただし、この適切な負荷というのはケガ直後では非常に難しいものであるため、テニスコートで起きた緊急のケガについては上記のPRICE処置で充分だと僕は思います。