テニスの解剖学!4.5 ~菱形筋と前鋸筋と腹斜筋の筋膜連結~
久しぶりのテニスの解剖学です。
一応本職は理学療法士なので、それっぽいことを書きます!
今回は菱形筋と前鋸筋と腹斜筋の繋がりについてです。それぞれの筋肉については下に過去記事のリンクをまとめているので、お時間があれば見てみてください!
菱形筋と前鋸筋と腹斜筋の繋がりとは?
菱形筋と前鋸筋、腹斜筋については以前にもまとめたのですが、実はこの三つの筋肉は強い繋がりがあると言われています。下の画像を見てください。
上の二つの画像では菱形筋と前鋸筋と外腹斜筋を載せています。
青枠を見ていくとそれぞれの筋肉が一つのラインのようにつながっているように見えます。
実は菱形筋と前鋸筋、腹斜筋は「同じ筋膜」の中にいると言われています。
筋膜とは
筋膜とは筋肉を覆っている膜のことを言います。この膜自体はどの筋肉にもありますし、多かれ少なかれ繋がりはあります。
動作と筋膜
そもそも、日常やスポーツの動作の中で一つの筋肉だけを使った動作というのはまずありません。単純な立ち上がるような動作でも、大腿四頭筋、殿筋群、前脛骨筋などなど、上げればきりがないほど上がります。
そのような動作の中で、使用頻度の高い筋肉に強い繋がりが生まれていきます。その結果、特定の方向に強くつながりのある筋膜が生まれていると考えてもらっていいと思います。
その中でも、菱形筋と前鋸筋と外腹斜筋が含まれるラインをスパイラルラインと呼びます。
このラインの運動機能は、回旋運動と回旋運動時の体幹・下肢の安定化と言われています。
テニスの中でのスパイラルライン
テニスの中ではリーチを伸ばして打つショット、グランドストロークやサーブでの回旋、ボレーやスマッシュのボールインパクトなどに大きく使われます。
例えば、壁を思いっきり手で押したときにお腹に力が入るのはこの連結があるからです!
トレーニング方法
これらを鍛える方法としてはプランクが良いでしょう!
プランク
1.うつ伏せの状態から、肘と前腕は肩幅よりやや内側、両足は肩幅に開きます。
2.体幹を上げて、脊椎をまっすぐにして保持します。初心者は10~30秒、上級者は1~3分行います。お腹に力が入っていればOKです。背中に力が入らないように注意しましょう!
※このトレーニングでは肩甲骨が体幹から離れて浮かないように注意しましょう!
以上です!またこういった話題も増やしていきます!
筋膜を詳しく学ぶなら↓の本がお勧めです!
興味のある方はぜひ読んで見てください!
アナトミー・トレイン [Web動画付] 第3版: 徒手運動療法のための筋筋膜経線
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過去記事
理学療法士必見!動画学習チャンネル3選!
今回は僕のオススメの動画学習チャンネルを紹介します。
少し前にYouTubeでの学習が今の時代には合っていると紹介させて頂きました。
YouTubeを含めた理学療法士やトレーナー向けの動画学習チャンネルは通勤時間で見ることが出来て、かつ内容が5〜20分程度のものが多いので隙間時間の学習にピッタリです。
そこで今回は僕が使ったことのある動画学習サイトをここで紹介しようと思います!
JLC on demand
ジャパンライムという医療やスポーツなどの動画販売をしている会社がオンライン向けに作っているサイトです。
ここの特徴としては医療分野だけでも2000を超える動画があり、なおかつPNFや入谷式足底板などの有名なコースや石井慎一郎先生、山口國光先生など有名先生の講義などの多くの講義があることが魅力です。
メリット
JLCの魅力はなんと言っても有名な講師陣です。上記の先生の講義を月額数千円で見れるのはかなりの魅力でしょう。僕も現在入っており、通勤時間などで見ています。
デメリット
逆にデメリットとしてはコースの時間が長いことです。1回20分程度の動画をそのコースが終わるまでには10〜20本程度見る必要があります。
通勤の動画学習としては少し重い感じがしますねσ^_^;
PTラーニング
株式会社プロアシストさんが経営している動画サービスです。
どちらかというと動画研修という感じに近いと思います。実際に病院研修としても使われていることもあり、解剖生理学から内部疾患、整形疾患の見方など基礎的な内容が多い印象です。
メリット
講義形式で1コースあたり5分×10本程度の動画があります。短い時間で収まるので通勤中に行うにはベストかと思います。
また、動画も増えてきており、石井慎一郎先生など有名な先生も多数います。
デメリット
動画の充実度で言うとJLC on demandの方が優勢です。また、PC向けに作られている動画も多いため、場所を選ぶという点はあります。
YouTube
ストレッチ方法などの動画から、TAP UP TVという本格的な動画まで沢山あります。
【肩甲上腕リズム】肩関節可動域制限の評価と臨床展開(吉田 一也先生)
メリット
YouTubeということもあり、全編無料で見れるのは凄く大きいです。5〜10分程度で一回限りの動画が多く、有名な若手先生の動画が多いのも特徴です。
デメリット
良い動画もあれば、「本当かよ」と思う動画も多数あります。人や動画を見極める力が必要になると思います。また、内容の濃さで言うと上記二つには勝てないと思います。有料の壁ですね。
今回は理学療法士向けの動画紹介をさせて頂きました。今の時代は書籍以外での学習方法が充実しており、自分にあったやり方を選べる時代だと思います。
ぜひ自分にあった方法を見つけて、普段の学習に役立ててください!
以上です!
肘の障害②~ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)~
ゴルフ肘を皆さんはご存知でしょうか?
僕は調べるまでそういう呼び方があることは知らなかったです。
ゴルフ肘は正式には上腕骨内側上顆炎といいます。ゴルフで無理なスイングをしたり、ダフった時に痛みが出やすいことからゴルフ肘と呼ばれるようになったそうです。
この障害はテニスのフォアハンドストロークやサーブなどでも痛みを生じやすく、テニス肘とゴルフ肘の比率は3~7:1であり、テニスをやっている人も発症している人が多い障害です。
テニス肘との部位や原因の違いを知ることでより正確な対処が出来るようになるはずです。ぜひ自分の状態を把握できるように知識を増やしていきましょう!
上腕骨内側上顆とは
まず、上腕骨内側上顆とは骨の部位のことで上腕骨をつかんで下に降ろしたときに外側に出っ張っているところです。
内側上顆の下には円回内筋や橈側手根屈筋、尺側手根屈筋という筋肉が付着しており、招き猫のように手首を曲げる動きや横に倒す動き、肘を内側にねじる動きに働いています。
テニスのどこで働く?
これらの筋肉はテニスのどこで働くのかというと、サーブやフォアハンドストロークでトップスピンを多くかけたときなどの手関節のスナップを効かせたときに強く使われます。
いわゆるワイパースイングや手首でこねるような打ち方をしたとき、または打点が後ろとなってインパクトの時に手首の力で支えなければいけない状況が続くと症状が出現します。
そのため、症状が出たら上記の点が上手くできているかフォームの確認をしたほうが良いと思います。
自分でできる検査法
二人一組で行える検査法を載せます。
・手関節屈筋群の疼痛検査
①手のひらを上に向けて、自分の方向に曲げます。
②パートナーに手を引いてもらい、それに負けないように力比べをしたときに肘に痛みが生じたら陽性です。
・前腕回内筋群の疼痛検査
※前腕回内とは肘を中心に腕を内側にねじる動きです。
①肘を90°に曲げて、手を開いた状態で親指を上にします。
②パートナーは手を握り、外側に返すようにします。それに負けないように力比べをしたときに肘に痛みが出たら陽性です。
この検査で疼痛の有無にかかわらず、プレー中に痛みがある場合は医療機関への受診をお勧めします。
一般的な治療法
治療法としてはテニス肘と同じで、初期治療では腕の使用をなるべく控えて、氷によるアイシングなどを行います。その後、前腕のストレッチから始めていき、前腕の筋力強化をして徐々にテニス復帰を目指していきます。
手術はほとんど行われることはないですが、保存療法で治癒しない場合に損傷組織の切除を行う場合があります。
前腕のトレーニング
リストカール
1.ダンベルを持ち、掌が上になり、手首まで出るように台の端に載せます。
2.ゆっくりとダンベルを持ち上げます。
3.ゆっくりと降ろします。
※痛みのない範囲で行うようにしてください。
※写真はかなり重いのでペットボトル程度の重さから始めましょう。
※慣れてきたら掌を下に向けた状態でもやってみましょう。
テーピング方法
テーピングは上の前腕の筋肉をイメージしながら張ります。
下の動画なんかを参考にしてみてください!
内側上顆炎(ゴルフ肘) テーピング やり方 コツ ゴルフで肘の内側が痛い 介護で肘が痛い ボウリングで肘が痛い 茨城県 土浦市 つくば市 接骨院 整体院 みらい整骨院 未来堂整体院
以上です。肘の外側が痛くなるテニス肘とは少し対処法が変わるので、しっかりと対応できるようになりたいですね!
前に上げたテニス肘の記事も参考にしてみてください!
テニスの解剖学④~腹筋群~
テニスの解剖学4回目は腹筋群について解説していきます。
腹筋は実は大きく腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋の4つに分けられます。
この中で今回は腹直筋、外・内腹斜筋について書いていこうと思います。
腹直筋
いわゆる腹筋のトレーニング(クランチ)で鍛えられる筋肉です。
腹直筋は体幹の中央を縦走している筋肉です。腹筋の中で最も表面にあり、主に体を前に曲げる作用を持っています。仰向けから真っ直ぐに起き上がるときなどに使われます。
また、骨盤と体幹を安定させたり、お腹の圧を増やし、排便や咳、嘔吐などといったことにも大切な役割を担っています。
テニスではサーブやスマッシュなどオーバーヘッド系の動作で使われると言われています。
外・内腹斜筋
外・内腹斜筋は体幹を回旋させる時に使われる筋肉です。
外腹斜筋がより表面にあり、内腹斜筋は外腹斜筋の下層にあります。内腹斜筋は腹横筋や多裂筋と共に体幹のインナーマッスルと呼ばれることがあります。これについてはまた別の記事で書こうと思っています。
起き上がる動作や歩く動作など体を捻る動きでは必ず使われている筋肉です。
テニスではストロークやサーブではもちろん、ボレー、スマッシュなど様々な場面で使われていると言えます。特にグラウンドストロークは大きな捻り戻しの力が必要不可欠となります。
この筋肉は利き腕やストロークの打ち方などで特に左右差が出やすく、姿勢の崩れを生み出すことが多いので左右バランスよく鍛えられるようにしましょう!
腹直筋の鍛え方
ドローインを意識したクランチ
1.仰向けで膝と股関節を曲げます。
2.息を吸って吐きながら起き上がる。起き上がるときにお腹がへこんでいるようにします。
3.ゆっくりと元に戻します。これを繰り返します。
ドローインを意識したクランチ/腹直筋上部・腹横筋/体幹トレーニング実践講座
外・内腹斜筋の鍛え方
ロシアンツイスト
1.股関節と膝関節を45°程度まげて、軽く足を浮かせます。
2.左臀部の横でメディスンボール(なければペットボトルでも可)が床に触れるまで体幹を回旋させます。
3.右臀部の横でメディスンボールが床に触れるまで体幹を回旋させます。これを繰り返します。
慣れてきたらストロークの捻り戻しを意識してスピードを上げて行ってみましょう。
シックスパックを作る⑨(ロシアンツイスト)【糸井トレーナー】
以上です!もちろんこれだけでは体幹は語り切れないので、近いうちにまた上げます!
テニスの解剖学!③~上腕三頭筋~
今回は上腕三頭筋について書いていきます。
肘を伸ばす筋肉でサーブやバックハンドストロークなど、様々な場面で使われる筋肉なのでぜひ見てみてください!
上腕三頭筋の特徴
上腕三頭筋は3つの筋肉が合わさったような構造になっています。
1つ目は長頭と言って肩甲骨の関節下結節というところから出現します。そのため、ここが強く収縮すると肩の内転も同時に作用します。
2つ目は外側頭と言って上腕骨の外側についています。
3つ目は内側頭と言って上腕骨の中間からやや内側についています。関節包にも付着しており、インナーマッスルのような役目もします。
テニスにおける上腕三頭筋の役割
上腕三頭筋の主な役割は肘を伸ばすことです。
この動きは例えばサーブやスマッシュのボールインパクトを迎えるまでの体幹から腕、そしてラケットへと力を伝える運動連鎖で、肘を伸ばすという最後の動きは上腕三頭筋によって生み出されます。
また、片手バックハンドストロークのボールインパクト前の肘の伸展も担っています。
そのため、しっかりと上腕三頭筋を鍛えることは肩や肘の負担を減らすと言われています。
上腕三頭筋の鍛え方
腕立て伏せ
1.両手両足を床につきます。この時、両手は拳一個分外に置きます。
2.横から見たときに肩・骨盤・足が一直線になるようにします。
3.2の位置から肘をゆっくりと曲げていきます。
4.限界まで来たら素早く2の位置に戻します。
※テニスのサーブやバックハンドを想定すると素早く戻すというのがとても大切です。
【1分で分かる筋トレメニュー】腕立て伏せで三頭筋を鍛えよう | Smartlog
リバースプッシュアップ
1.ベンチに背を向ける。指先を前に向けて両手のひらをベンチの端につく。足先を上にむけて床につく。
2.腕が床と平行になるまで、ゆっくりと肘を曲げていく。この時、上半身は起こした状態を維持する。
3.素早く肘を伸ばしてもとの位置に戻す。
上腕三頭筋(リバースプッシュアップ)のトレーニング方法とポイント解説
大切なのは実際にこの筋肉が使われているところをイメージしながらトレーニングを行うことです。ケガ予防のためにもぜひやってみましょう!
テニスの解剖学!② ~三角筋~
テニスの解剖学2回目は肩を覆う三角筋を紹介します!
三角筋はサーブを始め、フォアストロークの高い打点で打つときやバックハンドストロークのバックスイングからフォロースルーまでとテニスにおいてはどの動作でも使われる筋肉です。
今回はそんな三角筋の特徴とテニスに合わせたトレーニング方法を紹介していきます。
三角筋の特徴
三角筋は肩の最も外側にある丸みを帯びた大きな筋肉です。
その構造上前部・中部・後部の3つに分けられ、それぞれ作用が少しずつ変わってきます。
三角筋前部線維の特徴
前部線維は鎖骨から上腕骨についています。主に肩をまっすぐ上に上げる動きに作用しており、テニスの中ではフォアストロークのフォワードスイングの動きなどに主に関与しています。
三角筋中部線維の特徴
中部線維は鎖骨と肩甲骨から上腕骨についています。主に肩を外側に上げる動きに作用しており、テニスの中ではバックハンドストロークのバックスイングからフォロースルーやサーブのバックスイングの際に働きます。
三角筋後部線維の特徴
後部線維は肩甲骨から上腕骨についています主に肩を後ろに上げる動きなどに作用しており、中部線維と同様にバックハンドストロークやサーブのフォロースルー後の減速動作に働きます。
三角筋のトレーニング
フロントレイズ
・目的
三角筋前部線維・中部線維を中心に鍛える。
・やり方
①軽いダンベルをもって前方にゆっくりと前方に挙げてきます。
②挙げたところで2秒間静止します。
③ゆっくりと元の位置まで戻していきます。
ラテラルレイズ
・目的
三角筋中部線維・前部線維を中心に鍛える。
・方法
①軽いダンベルをもって側方にゆっくりと挙げてきます。
②挙げたところで2秒間静止します。
③ゆっくりと元の位置まで戻していきます。
ベントオーバーリアレイズ
・目的
三角筋後部繊維を中心に鍛える。
・方法
①足を肩幅に開き、膝と腰を軽く曲げて立ちます。肘と肩を曲げて、肘と肩甲骨が平行になるようにします。
②前腕をゆっくりと肩の高さまで上げ、2秒間保持します。
③元の位置までゆっくりと戻していきます。
※腰を曲げたし姿勢がきつければ片手をテーブルにつけて片方ずつ行ってもOK
参考動画
リアレイズのテクニック/肩後部(三角筋後部)を効果的に鍛えよう
下の記事もオススメ!
テニスの解剖学 ! ~前鋸筋と菱形筋群~
今回はテニスの解剖学という事で肩甲骨を裏から支える前鋸筋と菱形筋を載せさせていただきます。
前鋸筋と菱形筋群の特徴
前鋸筋と菱形筋群は肩甲骨の共に肩甲骨の裏側について、肩甲骨を外に開いたり、内側に絞ったりする働きがあります。
今回二つの筋肉を同時に紹介しているのは前鋸筋と菱形筋群は走行上つながりが強く、バランスよく鍛えることで肩甲骨の安定性を向上させられるからです。
また、スパイラルラインという身体の捻り戻しに働く筋膜のラインの中にあり、腹筋や体幹の捻り戻しによる力をラケットに伝えるのに非常に重要となります。
テニスの中ではストロークやボレー、サーブのインパクト時に肩甲骨を安定させて当たり負けをしないスイングが可能となります。
前鋸筋とは
第1~9肋骨から肩甲骨の裏を通り、肩甲骨内側縁についています。肩甲骨を前外方に動かす作用があります。また、腕立て伏せの最後プッシュする際に働きます。
菱形筋群とは
第6頸椎~第4胸椎の棘突起から肩甲骨の内側縁についています。
肩甲骨を内・上方に動かす作用があり、ボートを漕ぐような動きで活動します。
二つの筋肉を同時に見ると肩甲骨を介して二つの筋肉は同一の走行にあるように見えます。また、前鋸筋は外腹斜筋とのつながりもあるため、背中から腹部にかけて大きなライン上のつながりが出来ていると言えます。
前鋸筋のトレーニング方法
腕立て伏せ
一般的なトレーニングですが、前鋸筋を特に意識する方法を書きます。
1.肩よりやや前に手を置きます。
2.軽く肘を曲げてから背中がやや丸くなる程度まで地面を押して2~3秒ほどキープします。
3.ゆっくりと元の位置に戻します。
菱形筋群のトレーニング法
1.うつ伏せで頭に両手を置きます。
2.肩甲骨を内側に引き締めるように肘を上げて2~3秒ほどキープします。
3.ゆっくりと元の位置に戻します。
下の動画の二つ目に出てくるので参考にしてみてください!
肉離れの医学的対処法!
運動中に起こる障害の一つとして「肉離れ」という言葉を耳にすることがあると思います。
今回はこの肉離れについて解説をしていきます!
肉離れとは
「肉離れ」は医学的には「筋挫傷」と呼ばれます。「挫傷」とは皮膚の表面は傷つかず、その下の組織が損傷を受けた状態をいいます。
筋挫傷とは筋が限界以上に引っ張られたり、強力に力を加えたときに筋肉の一部またはすべてが断裂した状態をいいます。
関節的な原因としては筋肉の柔軟性の不足、筋力のバランス不良などがあげられます。テニス中に多く起こるのはハムストリングスや腓腹筋など脚の裏側の筋肉の損傷が特に多いです。
損傷の三段階
損傷の程度は大きく三段階に分けられます。
Ⅰ度損傷:顕微鏡レベルでの断裂である。動いたときに痛みはあるが、筋力の低下はない。
Ⅱ度損傷:筋肉内の線維が断裂する。動くことは困難であり、断裂した側に体重をのせることは難しく、筋力も低下する。
Ⅲ度損傷:筋線維が完全に断裂している。非常に強い痛みがあり、体重をかけることは不可能。断裂部のくぼみを触ることができる。
Ⅰ~Ⅱ度は損傷の程度により数日から数週間で治癒する。Ⅲ度では手術療法がおこなわれることもある。
治療法
発症したらその場でPRICE処置を行ってください。PRICE処置とはProtection:保護、Rest:安静、Ice:冷やす、Compression:圧迫、Elevation:患部を上にあげる。これらの略語になります。別記事にて解説していますので参照ください。
痛みが強い場合や翌日になっても痛みがある場合は医療機関に受診することをお勧めします。
基本的には自然治癒で治ります。しかし、その期間に無理な運動や痛みの出る動きを継続して行っていると痛みが慢性化してきます。また、発症直後は痛みの出る場所のマッサージやストレッチは逆効果となる危険性があるため注意をしてください。まずはしっかりと安静をとり、徐々に痛みのない範囲での運動を行っていくことが大切です。
実は危険な腰痛症!
今回は前回同様に医療関係の話をしていきます。
腰痛を感じる方はかなり多くいると思いますが、今回はその中でも危険な腰痛について書いていきます。
聞きなれない病名なども出ますが、自分の体をチェックする気持ちで見てもらえればと思います。
1.実は腰痛は腰の痛みじゃないかも!?
すごく稀なケースですが腰痛が体の中の血管や消化器などからくる場合があります。
よく「名医の診断」みたいな番組で取り上げられて僕らを戦々恐々とさせるやつです。
腰痛症の原因疾患の統計では約97%は前回記事でお伝えした腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの整形外科疾患です。
では残りの3%は何からきているのでしょうか?
実は残りの約2%は腹部臓器疾患、約1%は悪性腫瘍や感染からきていると言われているのです。
ではどんな病気が危険な腰痛と言われているのか。
僕らの問診の中ではFACETとRed Flagに気をつけて危険な腰痛の可能性を考えていきます。
2.危険な腰痛「FACET」
FACETとは危険な腰痛の頭文字を取った略語です。下の5つが含まれます。
Fracture…骨折
Aorta…大動脈解離・大動脈瘤破裂
Compression…脊柱圧迫症候群
Epidural abcess…膿瘍・感染
Tumor…腫瘍
①Fracture(圧迫骨折)
Fractureとは圧迫骨折のことを指しており、骨粗しょう症の高齢者がしりもちをついた時などに発症すると言われています。最近では「いつのまにか骨折」などの言われ方もしており、気づかないうちに骨折をしているケースが多くあります。
②Aorta(大動脈)
Aortaは大動脈のことを言います。ここでは大動脈瘤と大動脈解離を指しています。大動脈瘤は大動脈の弱い部分が風船のように膨らんできた状態で、初期は自覚症状がなく、大きくなるにつれて胸部や背中の痛み、息苦しさなどが出現します。この時にお腹を触ると「こぶ」が触れることがあり、そこに拍動を感じることもあります。
大動脈解離は大動脈の3層ある膜の一部が破けて外の膜に流れてしまう状態をいいます。突然の胸部や背中の激痛が特徴です。
どちらも症状が出たときは危険な状態です。特に大動脈解離は命の危険もあるため、場合によってはすぐに救急車を呼ぶ必要があります。
③Compression(圧迫)
Compressionとは圧迫のことであり、ここでは脊髄圧迫症候群のことを指しています。
脊髄の圧迫の原因としては椎間板ヘルニア、腫瘍の骨転移、血腫などがあげられます。症状としては脚のしびれや筋力低下、排尿・排便の障害などがあります。
④Epidural abcess(感染症)
Epidural abcessは感染症のことを指しています。硬膜外膿瘍、脊椎骨隨炎、腸腰筋膿瘍などがあります。この病名まで知っている必要はないと思います。発熱や長く続く夜中の腰痛などが特徴として挙げられます。医療機関での治療が必要となります。
⑤Tumor(腫瘍)
Tumorは腫瘍のことを指しています。悪性腫瘍の骨転移のことで、6週以上続く安静時痛や夜中の痛みが特徴です。今までにガンになったことがある人などは再発の可能性もあるため、すぐに医療機関に行くようにしましょう。
3.Red Flag
FACETが危険な病気を指していたのに対し、Red Flagは症状を指しています。
これらに当てはまる=危険な腰痛ではありませんが、当てはまるものが多い場合は医療機関に行ったほうが良いかと思います。
3.あとがき
今回は「危険な腰痛」についてまとめさせていただきました。テニスをやっているやっていないにかかわらず、知っておくことで自分を守ることが出来ることは沢山あるのでこういう投稿も増やしていきたいです!
テニス肘についてもう一度考えよう!
最近経営のことばっかりで、「り」の予測検索が「利益率」でした。
さすがにどうかと思ったのでここでしっかりと理学療法士っぽいことを書きます!(笑)
テニス肘はテニス障害の筆頭に挙げられます。テニスをやってない人でも知っている人も多いはずです。
今回はそんなテニス肘について書いていきます!
テニス肘とは
まずはテニス肘とは何なのか。いわゆるテニス肘と言われている障害は「上腕骨外側上顆炎」という病名になります。
上腕骨外側上顆とは骨の部位のことで上腕骨をつかんで下に降ろしたときに外側に出っ張っているところです。
この場所は3つの筋肉の付着部になっていて、主に手関節の背屈(手の甲を上げる動き)に働きます。テニスでは特にバックハンドストロークやバックハンドボレーのインパクトの際にラケットを支えるために働きます。
これらの筋肉の使い過ぎなどにより痛みが生じてしまった状態を上腕骨外側上顆炎といいます。
外側上顆炎は実はデスクワークの方にも多い障害です。
パソコン作業などの使い過ぎや老化による小さな損傷によって徐々に症状が出現します。または、小さな損傷の上で負荷がかかることで急激に発症したりします。
↓の画像の青丸が上腕骨外側上顆です。沢山の筋肉がついていることがわかります。
テニスをしている人であればかなりの人がなる身近な障害ですが、この場所は筋腱移行部と呼ばれる血流の少ない組織であり、障害の治癒は数週から数か月かかると言われています。期間が長く、慢性化しやすいとも言われています。
自分でできる検査法
・Thomsen test:手関節進展・肘関節伸展位で被験者に握りこぶしを作らせ、検査者が第3中手骨を掌屈するように力を加え、上腕骨外側上顆に痛みを生じれば陽性
・Chair test:肘・手関節伸展・前腕回内位で椅子を持ち上げさせ、上腕骨外側上顆に痛みを生じれば陽性
・中指伸展テスト:肘・手関節伸展・前腕回内位で伸展した中指に掌屈するように力を加え、上腕骨外側上顆に痛みを生じれば陽性
ちょっと見ずらいですが↑の動画も参考になるかと思います。(僕じゃないです。)
これらが当てはまらなければ大丈夫というわけではありません。少しでも痛みがある場合は身近なコーチや整形外科クリニックに相談をするべきです。
治療法
初期治療は安静とアイシングを行います。症状が軽い場合は痛みの出るショットを打たないようにして対応するようにします。
症状が強い場合は完全にプレーを中止する必要があります。
私が医療機関で働いている経験からしてもなるべく早い段階で医療機関にかかることをお勧めします。
医療機関での治療法としては電気刺激療法やマッサージ、筋力強化、ストレッチ指導などを行い、これらで改善がない場合は手術的治療が選択されます。疼痛が強い場合はステロイド注射もされます。
実際は症状が重くなってからでは完治することは少ないです。初期治療の段階でしっかりとフォームを直していくことが大切だと思います。
プレー時のポイント
では実際にどこに注意するかを以下の点を見てもらえればと思います。
・インパクトの瞬間に手首が伸びていないか。
・打点は体よりも前で打っているか。
この点が重要となります。スマホの映像などでもいいので一度痛みが出る自分のフォームを撮影してみるといいと思います。
以上です!こういう投稿も増やしていければと思います!!(^^)!